闘病記「100針への道」

番外編 膝と親指

注意! 筆者の予想以上に長文です。面倒だから分割していません。エディタにコピーして読むことをお薦めします。

 前回の入院から約1年後の1985年。

私は無事に大学2年生に進級し、夏休み中には就職も内定していた。

後は来年の春、卒業して東京に旅立つのであった。

とりあえずデスクワークの仕事が出来そうだ。

うむ、我が人生予定通り。

その後、実際には一波乱も二波乱もあったけどね。

で、懲りずに夏場はタクトで通学していました。

前回の事故後、相手が新車を買ってくれるわけじゃないので、外装だけ新品になりました。

もう、ピッカピカです。

でも、エンジンはそのままなので、相変わらず最高45キロしか出ません。

下がってるやん!

このスクーター、冬を越すごとに最高速度が5キロずつ下がっていきました。

 とある秋のどんより曇った日、私はいつも通り大学に向かい石山通りを走っていた。

前回、事故った付近は特に注意しながら。

しかし、今回の事故はそのはるか手前、植物園付近の交差点で起きました。

交差点に進入し直進する際は左折車がいないかを充分に確認します。

ええ、その時も確認しました。

右前方を走る白いセダンは明らかに直進すると確信して一緒に交差点に進入しました。

しかし、そのセダンは急に減速して左に寄ってきたのです。

その挙動は明らかに

あ、しまった!ここを左折するんだったんだ。

えい!曲がってしまえ!」的でした。

自分の左後ろにスクーターが走ってるなんて夢にも思わなかったでしょう。

私はセダンは減速してるし、私は最高速(と言っても45キロ)だから、間一髪よけられるはず!

と、ハンドルを一端左に切り、右に戻して体勢を立て直そうと体重移動!

わははは!間に合いませんでした。

セダンの左前とスクーターの右後ろが接触し、私とスクーターは駒のように2〜3回転しながら交差点対面角に転がりました。

 「ううぅ・・・」すぐには起き上がったり喋ったり出来ません。

軽く背中をうったようです。

今回は幸いヘルメットを被ってましたから、頭は大丈夫、足・・・あれ?

右足が動かない、腕・・・おやぁ?右手の感覚が無い。

前回よりマズイんじゃないの?

通りかがりの若者(アベック)が「大丈夫ですか!?」と駆け寄ってきた。

男の方が倒れたスクーターを起こそうとしている。

おいおい、人の方が先だろ!

あ、他のクルマの邪魔になるのね。

了解しました。

でも、あんたバイク触ったことあるの?

なんか扱いがおぼつかない。

あ、まだエンジンかかってるんだよ?

あんたが力一杯握ってるのはアクセルだよ。

「あわわわぁっ!」という情けない男の声と供に私のスクーターはウイリー状態

あ、手を放した。

ドサッ!ウグッ!・・・

あわれスクーターは私の腹の上に倒れたのであった。

実は今回これが一番痛かった。

 やっと、セダンの運転手が来た。

その交差点は石山通りと北一条通りがぶつかるので、いつも混雑していて停車出来る場所を探していたらしい。

逃げられたかと思ったぜ。

「じゃ、そういうことで・・・」若者は去っていった。

おまえら、何しにいたんだよ!

この馬鹿野郎!

今回、救急車は無し。

そのセダンに乗せられ近くの病院に連れていかれる。

今回の加害者は重役の運転手で札幌の土地勘があまりなかったらしいが理由にはならんぞ。

その重役は私に謝りもせずタクシーに乗って行ってしまった。

全く失礼な奴だ。(ハゲてたし)

運転手の話だと警察沙汰にするのは困るとのこと。

ふん。知ったことかい。

怪我の具合によっては示談にしてやろっかなぁ〜。

 その運転手の肩を借りて、病院内へ入る。

右膝は痛くて動かないし、血が出てる。

右手は強打してけど、どうも親指だけみたい。

折れたかな?

おいおい、右手の親指ったら、箸持つのも、鉛筆持つのも、

ピック持つのも、自家発電するにも重要な指じゃん!

で、診察の結果。右膝打撲、アザになって傷口がかさぶたになる程度。

右手親指、単なる突き指。

わははは!思いきり軽傷じゃん。

スクーターもほとんど無傷だし。

治療費等経費の他に示談金いくらか貰って一件落着。

 クルマの接触事故を除き、私の3回にわたる交通事故の記録です。

全部バイクですね。それも原付。

奇しくも3回とも同じ赤いジャンバーを着ていました。

一応、今でも保管してあります。既に着れませんが。(^.^;)

あれぇ?縫ってないやん。番外編ですから。(^_^)